BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2010年07月30日(金)掲載

“サッカー人として”
2010年07月30日(金)掲載

夏の思い出・自問・決意

 夏といえば、外に出ずっぱりだった小中学生のころを思い出す。小型バンの後部座席に8人ほどの友達と一緒に詰め込まれる。静岡を出発するのは夜中。荷物をひざに抱え、揺られ、目覚めると試合会場に着いていた。長野、新潟、神戸。一つの大会が終われば、また次の合宿へと旅をした。


 伊豆・下田での合宿はあまりにきつく、仲間内で「伝説の合宿」と名付けられている。炎天下で水を飲まずに練習。宿舎から約5キロ走ってグラウンドへ行き、練習で走り、練習後も走って帰る。ある横浜の少年団チームは一日で夜逃げしてしまった。食事は残さず食べ切るまで席を立てない。背後には竹刀を手にしたコーチが。友人は泣きながら嫌いな牛乳を飲んでいた。


 でも、しんどくなかったね。みんなとのサッカーざんまいの夏が楽しかった。あの日々で随分鍛えられてもいる。あんなしごきは今は昔のことだろうけれど。コーチになった僕の幼なじみは、最近はヘッドギアをつけて練習する子どもに出くわしたという。親御さんに「息子さんは頭部に障害が?」と尋ねると「いや、ケガをしないように」と。


 この暑さと湿気でサッカーをするのは大変だ。ただ、暑さも寒さもあるからこそ色々なサッカーが生まれてくるんだ。寒冷地では走力やフィジカルが前面に出る。暑いブラジルではボールを細かくつなぎ、長い距離を走らぬよう工夫がなされる。風土に応じてスタイルが育つから面白いよね。


 教会へ通うのと同じくらいサッカーが日常に溶け込んでいる欧州では、7~8月はバカンス優先で、夏とサッカーは結びつかない。でも日本では夏休みはサッカーのかき入れ時。遊園地と同じ存在だ。夏のサッカーは質が落ちるのだけれど、日本の慣習には合っているんだろうね。


 暑さに頭がくらくらしつつ、選手ほどいい仕事もないぞと僕は考える。そして自問する。サッカーを見るのが好きなのか、するのが好きなのか? 見ることがやることほど面白いとは思えない。やるのが一番。監督業? いや、選手の方がいい。ビジネスで金もうけに走る? いや、それも自分らしくないな……。


 だから暑くても一生懸命走ろうと思うわけです。