BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2020年12月18日(金)掲載

“サッカー人として”
2020年12月18日(金)掲載

ひとつの希望

 2020年? 記憶にございません。


 そう言わざるを得ないほど、わずかな出場機会に今シーズンはとどまってしまった。自分のパフォーマンスに語れるほどのものがないことが残念で、悔しい。


 それでも諦めずに365日、サッカーと向き合い、ファイティングポーズはとり続けた。間もなく1年が終わるとしても、走り続けることしか考えていない。正月三が日が明けたらすぐ自主トレへ向かうつもり。松井大輔選手を追いかけ、いくぞ、サイゴンFC!


 13年ぶりにJ1に挑んだ横浜FCにとっては厳しさを知らされたシーズンだった。J2で23勝できても、J1では10勝できず。でも同時に、2007年よりは可能性を感じる試合が多かった。いい戦いをできたけれども引き分け、あるいは最後に力負け。どうすれば攻撃できるの、と圧倒された前回よりは、あと一歩までは近づけたというか。


 とはいえ健闘して負けるという現実が、まだ僕らがJ1のチームになりきれていないということでもある。調子が悪くても勝てるのが強いチームだとすれば、うちは調子が良くても勝てない。ちょっとだけど、厳然とした差。その差ってなんだろう?


 この試合を落としたら、自分の職も存在も失われる。そんな危機感、そこから派生する責任感によって歴代の強者は強者たり得た。常に優勝争いに絡んでいるか、義務付けられているか。同じようなステージに立てないうちは本当の意味で強くはなれないんだろう。


 僕らは「勝つために努力しています」といえばまだ許してもらえる。でも「努力しています」だけでは認めてもらえない人がいる。努力で許されるうちは半人前、もう一段上にいきたいね。


 僕らは恵まれてもいる。コロナ禍でも例年と変わらぬルーティンでサッカーに打ち込めたのは、様々な方々のご尽力のおかげだ。クラブ、地域、サポーターも含めたみんなの力で、平常ならぬ1年を完走できた。日本人の規律の高さの証明、誇れる功績じゃないだろうか。


 1年が終わってもウイルスは去ってくれない。好転はまだ先で、困難がまた待ち受けるかもしれない。でも、乗り越えていく。2020年の足跡は、そう思えるひとつの希望だと思っている。