BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2014年09月05日(金)掲載

“サッカー人として”
2014年09月05日(金)掲載

みそ汁の味を埋める

 アギーレ新監督の日本代表には、監督がほんとに自分の目で決めたんだなという間があって、実績の少ない選手も入っている。


 ただ、新しく選ばれた選手に大きな期待をかけ過ぎるのもよくない。代表というものを背負い、引っ張る存在になることは大変なことだ。クラブにいるときの1割ほどしか力を出せずに終わる選手は日本にも海外にもたくさんいた。それが代表の難しさ、重みでもあるからね。代表歴の長い選手の行動から「代表とは何か」を学ぶことだろう。


 逆に代表ベテランは技術だけでなくハートの部分でもそれを伝える義務があるし、間に立ってアギーレ監督の手助けもしてほしい。


 みそ汁と聞いて、どんな味を思い浮かべますか。僕らが思うその味と、「みそ汁が好きで飲んでいますよ」という外国人がイメージするみそ汁の味とは、微妙にずれているときがある。たとえ親日派で日本通の人でもね。僕ら日本人がどれだけパスタを食べてエスプレッソを飲み、「これぞイタリアの味」と納得しても、イタリア人の考えている味とは少しだけとはいえ違っている可能性がある。こうした誤差はあって当たり前のこと。


 同じことが外国人監督にもいえる。「日本人らしさ、日本のサッカー」を分かっているといっても、少し違う形で理解している場合がコミュニケーションのなかである。その誤差を埋めていく作業も大切なんだ。海外でのプレーが長い代表選手はそうした誤差に苦労してきたはずで、擦り合わせていく力も高い。その意味でも彼らはまだ「過去の人」ではなく、中心を担えるはずなんだ。代表が新しくなったこの時期は特に。


 J1で首位争いをして、個人として実績もあり結果も出しているのに代表に呼ばれない選手がいる。一方でリーグ出場わずかの若手が選ばれる。「そんな簡単に……」という悔しさはあるだろう。彼らはそれだけ代表の重みを知っている。代表のユニホームをそう簡単に着せないでほしい、重いものであってほしい。その心情は僕も一緒です。


 でも、これが大きくなるチャンスなんだ。結果で「俺を呼ばんかい!」といえるくらいに踏ん張ること。簡単ではないけど、僕らは踏ん張り続けなきゃいけないということです。止まるわけにはいかないね。