BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2006年11月03日(金)掲載

“サッカー人として”
2006年11月03日(金)掲載

好プレーに敵味方なし

 優勝や昇格が懸かった試合の緊張感は格別だ。先週の柏レイソル戦(2006年10月28日)がまさにそうで、立ち上がりから激しい試合になった。後半、2点リードされてから同点に追いついたとき、ベンチからみんなが飛び出して抱き合った。交代で退いていた僕もグラウンドに入って喜んでいたら、審判に注意されてしまった。でも、あの瞬間チームのまとまりを感じた。


 ドイツワールドカップ(W杯)の日本代表は、ゴールが決まってもベンチで喜んでいたのはスタッフだけだったと言われているけれど、全員で喜び合えばチームに勢いが出る。試合に出ている選手も、出ていない選手も、一緒に戦っているという意識がサポーターにも伝わったと思う。


 会場の柏サッカー場はグラウンドと観客席が近いので、相手サポーターのヤジもひっきりなしに飛んでくる。あの雰囲気はいいね。別にピストルで撃たれるわけじゃないから怖くはない。それだけ昇格を争うライバルとして、ウチを意識しているということの表れだと受け止めている。


 サポーターというのは、選手以上にチームのことを思ってくれているものだ。ブラジルでは皆、親子代々で応援しているクラブがある。日本で好きなプロ野球チームを聞くのと同じで、向こうでも聞いたりする。で、自分と違うクラブだと、もうおまえは友達じゃない、となる。それくらい生活の中に根付いている。


 試合中、ブラジルではゴールの前後には大歓声が上がる一方、落ち着いている時間帯もあってメリハリがある。日本だと常に歌や声援を送り続ける。どちらが良い悪いではなくて、そんな違いも一つの文化だ。日本ではJリーグができた途端、ヤジも変わった。それまで「バカ野郎」「しっかりやれ」という感じだったが、英語の汚い言葉を叫んだりするようになった。海外の影響を受けたんだろうね。


 僕の理想を言うと、良いプレーに対しては、敵味方関係なく賛辞を贈ってほしい。ヒデ(中田英寿)から聞いた話では、イングランドの観客は相手チームのDFの見事なタックルに対しても拍手を送るそうだ。海外の過激で汚い部分から影響を受けるだけでなく、そんな余裕も持てたなら、サッカーの奥深さを感じることができるんじゃないかな。