BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2013年08月30日(金)掲載

“サッカー人として”
2013年08月30日(金)掲載

ルーティンにこだわる

 サッカーは常に相手があることだから、思い通りにいかない方が多い。PKの失敗はGKの成功というように、僕のドリブルだってボールを取られることが多いかもしれない。失敗が成功よりも圧倒的に多い。そんな失敗から学んでいく。


 「4千本のヒットを打つには、少なくとも8千回以上は悔しい思いをしている。それと常に向き合ってきた」。日米通算4千安打を達成したイチロー選手(ヤンキース)が語ったことだ。打てなかった自分、ミスとも向き合い続ける。打席に立てるか立てないか分からなくても、怠らず常に準備をする。強調したかったのはそこじゃないかな。体の状態が少し悪いくらいでは休めない、年長になれば乗り越えるべきものも増える。ある意味では試合は楽だ。自分を見せられる、高揚できる場。見えないところで厳しい練習を積み、苦しさと直面し続けるのは簡単じゃない。


 イチロー選手がイチロー選手であるためのルーティン(きまりきった手順)。それを絶対に崩さず、オフの時期から準備にこだわっていくんだね。これは必ずやる、という決まり事は僕にもある。日々繰り返すのはあくまで試合で90分間出場するため。立場は違っても、似ているとも思う。


 水曜に練習を立ち上げ、きつめの木曜をへて日曜に試合。出場すれば月曜はクールダウン、出なければ練習試合。火曜がオフ、また水曜へつながる横浜FCの循環のなか、僕にとって人生で一番の苦痛は試合に出られないことだ。それと向き合う晩はストレスが限界に達する。そこで自問する。「次をつかむには、目の前の月曜日からだ。ここにしか自分のチャンスはない。ここでベストを尽くす」。


 そこへ意識が向かってしまえば、強まりきった苦痛がなかったかのように薄らいでいく。エネルギーに変わっている。この切り替えがうまくなったんだろうね。この繰り返しで、それも僕のルーティンになっていく。


 僕なんかスポーツ選手の「職業病」で、休みに何もしなかったときの具合の悪さといったらない。オンを充実させるオフの過ごし方は難しいよ。ボーッと過ごすと次の日には体が重い。外出して活動的だった方が練習再開日に気だるさを感じないけど、どこか疲れている気もするし。


 当然、私生活でもきまりがあるけど、そこには言えないルーティンもあるので。