BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2012年11月23日(金)掲載

“サッカー人として”
2012年11月23日(金)掲載

人生を変える1ポイント

 チームが勝ち進むには何が必要なのか。フットサルに参加することで、僕は改めて学ぶことができた。


 フットサルのワールドカップ(W杯)で日本は勝ち点0で1次リーグを終えてもおかしくなかった。相手は強国2チームにアフリカ王者リビア。ただ、日本がリビアと違ったとすれば、一体感や「和」、きずなのようなもの。ブラジルに1-4で敗戦しても、ぶれずに自分たちを信じ抜いた。ポルトガルに1-5と差を付けられても最後まで投げ出さなかった。


 僕も人間だから苦悩します。自分が加わったことで代表に貢献してきた選手が外れる。チームにもともとあるリズム、フットサル特有の戦術を新人の僕が壊してはならない。では自分は何をしなければならないか。どんな役割を果たせば。選手やスタッフが助けてくれて、僕も懸命にグループへ入ろうと努力をした。それが決勝トーナメントという形になってうれしい。勝ち進み、ワクワク感を続けたかった。でも得たものの大きさから、いまは本当にありがとうございますという感謝の思いしかありません。


 ベスト8、4だって行けたよな――。でも、そこが壁なんだね。日本は良くなった、強くなったといわれても、ベスト16の先にはもう一枚、壁がある。レベルをもう一段階上げねば破られない厚さで。サッカーでもそう。2010年W杯で日本はオランダと0-1、オランダが準優勝だから「日本にだって可能性が」と思いたくなる。でもその差は「1」以上にものすごく大きい。


 1ポイントが人生を変えることがある。引き分けたポルトガル戦。「1ポイント取っただけじゃないか」という声もあるだろう。あの場に居合わせた僕らは、その「1」がどれほど大変なものなのかが分かる。引き分けはどう転んでも1。でも1以上の価値がある1ポイントが絶対にあると思う。伝説の1ポイントとなって、次代に生きると信じるよ。


 カズが守備で頑張った、スライディングで体を張った。そんなの当たり前で何もニュースじゃない。攻撃と守備はコインの裏表。だから人生を変える1ゴールがあれば、止めた1ゴールも人生を変えるんだ。そんなゴールやプレーをJ1昇格プレーオフに思う。ジェフユナイテッド千葉が横浜FCから奪った得点が、千葉のこの先20年を左右するかもしれない。その失点で、僕らは20年昇格から遠のくかもしれない。なかなかそこまで頭が回らないのだけど、実はそのくらいの大きさなのだとかみしめながら、歩んでいくしかない。