BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2010年11月19日(金)掲載

“サッカー人として”
2010年11月19日(金)掲載

来季へのワクワク感

 来季(2011年)の現役続行を表明した僕にブラジル・サンパウロの2部、3部のクラブから獲得オファーが届いた。横浜FCからも契約延長の打診をもらっていて、プロ26年目、44歳で迎えるシーズンに日本かブラジルかという選択肢があるのは本当に幸せなことだ。


 結論から言うと、今は横浜FCとの契約を最優先で考えている。自分にとってどこが一番燃えられる場所なのかといえば、それは横浜FC。最近はプレー時間も徐々に増えて、いい仕事をして勝利に貢献できている実感もある。岸野靖之監督の下で一年間戦ってきたチームの成長を感じるのは楽しいし、そこに来年また参加できるワクワク感がある。


 ただ、ブラジルは僕にとってプロの原点で、僕を育ててくれたところ。そこでもう一度プレーしたい気持ちもある。以前よりもスピードがなくなった僕を監督はどう使うだろうか、公式戦に出場したらさらに自信を得られるのか、もう駄目だと思うのか。そこには別のワクワク感がある。


 今季、先発出場が一度もない僕に「カズはブラジルで試合に出られるの?」と思う人もいるだろう。でも、そこは日本とブラジルのサッカーの違いがある。ブラジルで実績バリバリでも日本で活躍できない選手もいるし、向こうでは無名でもこちらで認められる例もある。どちらが上か下かということではなくて、選手を見る目、基準が違うんだ。


 去年のシーズン終了後、古巣のキンゼ・デ・ジャウーで練習に参加させてもらったら、監督と会長は「これなら十分使える」と判断して契約を打診してくれた。そこにサッカー王国の奥深さ、懐の深さを感じる。


 2部や3部にはギラギラした粗削りな若手がたくさんいる。片道20時間のバス移動に揺られながら、全国選手権出場を夢見ていた25年前の僕と同じような。成功を信じてはい上がろうとする10代の若手を相手に、40代の僕がどう渡り合っていくか。試合で彼らをどう生かし、また生かされるか。興味がわくね。


 ピッチに立ったら年齢は関係ない。18歳の選手に「おいカズ、こっちのスペースに戻れよ」と怒鳴られることもある。それはブラジルも日本も同じ。力のあるものが権利を得る、本当の「体育会系」の世界が僕は大好きなんだ。