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「サッカー人として」第34回 三浦知良


アウエーの過酷な環境

 日本代表が今、アジアカップ3連覇へ向けて厳しい戦いに挑んでいる。ライバルは日本をつぶすつもりで向かってくるし、組み合わせも厳しい。初戦でドローに持ち込まれたカタールと同様に、アラブ首長国連邦(UAE)はアフリカ系のような高い身体能力を持っている。ベトナムには地元の利があるし、侮れない存在。1次リーグを突破するのも簡単じゃない。

 海外合宿では、予想もできないアクシデントが起きる。一九九六年のUAEでのアジアカップでは、日本人シェフが食事を用意してくれることになっていたのに、現地に着くとホテル側が厨房(ちゅうぼう)を使わせないと言い出した。

 そこで、借りている部屋の一つをこっそり食堂に仕立てて、外で調理したものを運び込んでみんなで食事をした。事前にしっかり打ち合わせしていたことが、急に変更されてしまう。アウエーの戦いには、そんな難しさもつきまとう。

 もちろん気候や生活習慣の違いも厄介な問題だ。特に東南アジアの暑さ、湿気は尋常じゃない。自分が病気になったか、体力が落ちたんじゃないかと思うくらい体が重くて、試合が始まる前から疲れている。

 3週間以上もホテル生活が続くことだけでも大きなストレスになる。グラウンドと宿を往復するだけの単調な日々に飽きてしまう。僕の場合、海外合宿ではできるだけ部屋にこもらないようにしている。散歩したり、タクシーに乗って街へ出掛けたり。代表のときはゴン(中山雅史)と一緒に行くことが多くて、たまのオフの日には一杯だけビールを飲んで息抜きをした。リフレッシュの仕方は人それぞれだけれど、心身のコンディションのバランスをとることが大切だ。

 不利な条件はあるけど、そんな中でも日本は勝つ経験を積んできたし、二〇〇〇年と〇四年には厳しい環境の中で連覇を果たした。それだけの実力がある。技術と戦術、それに勝ち運のある監督もいるから、きっと大丈夫と信じている。

 話は変わるが、昨季J1昇格を目指して一緒に戦ったアレモン選手が母国ブラジルで事故で亡くなった。陽気な彼の姿が目に焼き付いているし、ご遺族の心境を考えるといたたまれない。ご冥福をお祈りします。(元日本代表、横浜FC)

(日本経済新聞、2007年7月13日掲載)


※このテキストを三浦知良および日本経済新聞社に無断で転載することを禁止いたします。

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