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「サッカー人として」第33回 三浦知良


ケガを悟られない習慣

 先々週、突然の腰痛に襲われた。寝返りも打てないし、イスに座って上半身を前に動かすだけでも一苦労。90歳のおじいさんになったような感じで、結局2試合を欠場してしまった。

 腰を痛めたのは今回が初めてではなく、10年ほど前から時々経験している。それ以外にもヒザや足首など、悪いところを挙げたらきりがない。10年、20年もサッカーを続けていればどこかに痛みを抱えていて当たり前。だからトレーナーにケアしてもらったり、筋肉を鍛えてカバーしたりする。

 プロにも痛みに強い選手と、そうでない選手がいる。医者に全治2週間と言われて、きっちり2週間休むか、1週間で何とかしてやろうと考えるか。どちらが悪いというものでもないけれど、少しでも早く復帰しようという意識があれば治り具合も変わってくるはず。

 僕の場合、ケガを悟られまいとする習慣がブラジル時代に染みついた。向こうでは「本当にサッカーができるのかよ」とバカにされるところから始まった。少しでもプレーが悪ければメンバーから外されるし、痛がっていたらマイナスイメージを持たれるだけ。ケガをしたと気付かれてはいけないし、自分から伝えるなんてもってのほかだ。

 日本でも、試合に出られるかどうかの危機を何度も乗り越えてきた。足首が倍ほどに腫れ上がっても、2日後の試合に出場したこともある。そうしないとポジションを奪われてしまうから。代わりの選手が活躍したら、僕はもうずっと出られなくなる。だから休んじゃいけないという危機感がいつもあるんだ。

 僕は基本的に、日常生活ができるなら試合にも出られると思っている。立ったり座ったり、自分でお風呂に入れるならサッカーもできるはず。それでケガが悪化したこともあるし、ベストの状態でなければチームに迷惑をかけるという意見もあるだろう。でも100%治るまで休んでいたら、いつまでかかるか分からない。この年齢で1カ月も2カ月も休んだら選手生命も終わってしまうしね。

 僕の考え方は古いと言われるかもしれないけれど、そうやってプロで20年以上戦ってきた。その古い考えが今まで僕を支えてきたんだ。(元日本代表、横浜FC)

(日本経済新聞、2007年6月29日掲載)


※このテキストを三浦知良および日本経済新聞社に無断で転載することを禁止いたします。

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