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「サッカー人として」第24回 三浦知良


40代はミステリアスに

 来週月曜日は僕の誕生日。40歳だ。Jリーグの40代の現役選手といえば、僕も同じチームで一緒にプレーしたラモスさんがいた。僕が初めてラモスさんに会ったのは、たしか21年前。なのに雰囲気や印象は今も出会ったころとほとんど同じ。年齢不詳というか、年なんて関係ない感じだ。

 僕は今の25歳くらいの選手にオジサンと思われているかもしれないけれど、ずっと変わらないラモスさんを目指したいね。

 今までの節目を振り返ると、30歳のころにサッカー選手として一番焦りがあった。体が動かない、衰えてきたということを急に感じたから。どう対処すればいいかもわからなかった。

 それまでは調子が悪くなると、練習や筋トレで追い込めば元に戻った。同じようにやればいいと思ったのが間違いで、逆に体が重たくなってすぐ疲れてしまうし、ダッシュをしてもキレが無くなってしまった。こんなはずはない、というもどかしさがあった。

 それがちょうど一九九七年から翌年、日本代表に関してカズ不要論がわきあがったころだ。コンチクショウと思ったけれど、そういわれても仕方がない状態だった。それだけパフォーマンスは落ちていたから。今までで一番苦しい時期だった。でもその経験のおかげで、この十年間頑張ってこられた。休息も必要だということ、年齢に合わせたトレーニングというものをつかむことができたから。

 つけすぎた筋肉をそぎ落として、量より質を意識した練習に切り替えていく中で、32歳のころにようやく楽になった。若いときにしっかり鍛えていた蓄積があったからこそ、筋肉や練習量を「落とす」ことができたんだろう。そうでなければ落としても単に体力がなくなるだけで、引退へと向かっていくことになる。

 今はそのときのような急速な衰えは感じない。もちろん見えない部分では少しずつ力が落ちているはず。それを食い止めようと日々努力している。たとえ若々しくはなくても、生き生きとした選手でいたい。「カズ、40歳だけど本当に大丈夫かな」とファンのみんなを心配させつつ「でもなぜか期待しちゃうんだよな」と思ってもらえるようなミステリアスな部分。それが40代のテーマだね。(元日本代表、横浜FC)

(日本経済新聞、2007年2月23日掲載)


※このテキストを三浦知良および日本経済新聞社に無断で転載することを禁止いたします。

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