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「サッカー人として」第19回 三浦知良


苦難のJ1昇格に感動

 試合を終えて、スタジアムから空港へ向かうバスの中で迎えた優勝の瞬間は感動的だった。昇格を争った神戸と柏のどちらかが引き分け以下なら横浜FCが昇格、両方が勝てなければ優勝が決まる状況。それぞれの試合経過を携帯電話で聞きながらの“実況中継”があちこちで始まった。

 「神戸がリードした」「でも柏が負けているから昇格は決まるぞ」「神戸が追いつかれて引き分けた」「優勝だ!」。みんなものすごく興奮していた。

 勝因を挙げたらきりがない。まず高木監督が負けないサッカーをつくり上げたことが大きい。ライバルチームには外国人選手3人が抜けた途端に、攻撃力が落ちてしまうところもあったが、ウチはどんなときでも大崩れしなかった。23試合で17得点のアレモンはもちろん大事なゴールをたくさん決めてくれた。でも、アレモンや中盤のアウグストを欠いたときも、その穴を埋めた選手が持ち味を発揮した。

 僕の考えでは33、34歳くらいの選手はベテランに含まれないんだけれど、このチームは山口や小村、僕といった35歳以上のベテランがケガをせずに主力として試合に出ていた。その個性を生かしつつ、若手・中堅とバランスを取りながらやりくりしたのは、やはり高木監督の手腕だ。

 どこの国でも、どんなカテゴリーでも、1年間戦って勝ち抜けるのはうれしいこと。もちろんJ2は2部だから、日本のトップじゃない。来年はそこに挑戦することになる。

 この位置にたどり着くまでに、クラブは本当に苦労してきた。自前の練習場がないから、一般の施設を借りて練習する。小学生チームの予約が入っているから早く出てくれと言われたこともある。僕も長くプロをやっているけれど、小学生のためにグラウンドを出ていかなければならなかったのは初めての経験だったな(笑い)。それでも、そんな環境のチームで優勝したことに、優越感を感じたりもする。

 来年に向けてのクラブとの話し合いはこれから。もちろん横浜FCが契約延長の意向を示してくれたら、それを第一に考える。レアル・マドリードから素晴らしいオファーが来たら、どうなるか分からないけどね。(元日本代表、横浜FC)

(日本経済新聞、2006年12月1日掲載)


※このテキストを三浦知良および日本経済新聞社に無断で転載することを禁止いたします。

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