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「サッカー人として」第7回 三浦知良


アシストに大きな喜び

 FWというのは常に得点を期待される立場だけれど、僕はアシストにも大きな喜びを感じている。ドリブルで相手を抜き去ってクロスを味方にピタリと合わせて、それがゴールにつながる。得意な形でアシストできれば最高の気分だし、ゴールを決めたときよりも気持ちがいい。

 先週の神戸戦の1点目、城の同点ゴールの場面がまさにそう。左サイドを突破してクロス。ブラジル時代に何度もあった形だ。ブラジルでのポジションは基本的に左ウイングだったからね。当時は点を取る技術を持ち合わせていなかったから、ゴールは少なめだった。でもその分、左サイドのドリブル突破、アシストにはこだわりがあった。

 ウイングとしてはスピードは速い方じゃなくて、タイミングとキレでDFを抜いていくタイプ。神戸戦のアシストの場面で見せたような、ボールをまたぐシザースフェイントを試合で使うようになったのもブラジル時代だ。

 覚えたのは子供のころで、大好きだったブラジル代表のスター、リベリーノのプレーをまねしたのが最初。リベリーノは外側から内側にまたいでいた。僕のは内から外。静岡学園の2歳上の先輩もシザースがすごくうまくて、それも参考にさせてもらった。

 最初は練習で使うだけ。それを実戦用にバージョンアップできたのはブラジルでの経験のおかげ。練習でできないことは試合でもできない、なんてよく言うけれど、ブラジル人は練習より試合のときの方がうまい。大観衆を前にするとスーパープレーを突然見せる。そんな環境でもまれたおかげで、僕も今では本番の方が力を発揮できる。

 日本に帰ってきてから得点も取るようになったけれど、ゴールというのはアシストがあってのもの。いいパスを受けたり、味方を使って抜け出したりする場合、アシストがすべてと言っても言い過ぎじゃない。欧州チャンピオンズリーグでも、いい得点の前には必ずいいアシストがある。今はゴールでもアシストでもいい。チームのために全力を尽くすだけだ。(元日本代表、横浜FC)

(日本経済新聞、2006年4月25日掲載)


※このテキストを三浦知良および日本経済新聞社に無断で転載することを禁止いたします。

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