LOCKER ROOM


「サッカー小僧」第17回


−兄・泰年−選手としてかがみの中のかがみ

 ここまでサッカーをやってこれたのは兄のヤスさん(神戸MFの三浦泰年)の存在があったから。基本的な生き方はそれぞれ違うかもしれない。だけど、プロとしての精神など「サッカーの線」は同じ。38歳と36歳になった2人が、まさか同じチームでプレーできるとは思っていなかった。兄弟として本当に最高の幸せだと思っている。

 小さいころ、ヤスさんはサッカーを百パーセントやって、終わったら休んでいる子だった。僕は五十パーセントの力でやって、あとは遊びに行く子。今考えれば、それが僕なりのバランスだった。いつの間にか僕も何事も全力でやるようになってしまったけどね。

 選手としてのヤスさんはかがみの中のかがみ。フィジカルトレーニングをやっていても、若い選手にくっついて精いっぱいやり切る。常に限界に挑戦していながら限界が見えてこない。ヤスさんがマラソンランナーになっていたら、きっとオリンピックで金メダルを取っていただろうね。それも半分は「根性」で。デッドヒートになったら特に強いんじゃないかな。

 その気力や精神力は飛び抜けている。ただ、2つ若いのに僕が先に引退してしまったら失礼だし、恥ずかしいという気持ちもあるんだ。

 J1残留争いが佳境に入り、ベテランの重要性が増している。求められる役割は、疲れているときに味方に活を入れたり、監督の言いたいことをピッチの中で的確に伝えてバランスを取ったり…。勝負の世界で「声」によって救われることはすごく多い。

 そういう部分が神戸には不足しているし、今、監督がヤスさんを信頼し、何を期待しているかは明白。ボランチというポジション柄、FWの僕よりまとめやすいと思う。

 ヤスさんは福岡で、僕も京都でJ2落ちを経験しているから、そういう屈辱を2度と味わいたくないと思っている。踏ん張りどころだ。(隔週金曜日に掲載、次は31日)

(神戸新聞、2003年10月18日掲載)


※このテキストを三浦知良および神戸新聞社に無断で転載することを禁止いたします。

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