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「サッカー小僧」第15回


−伝統−阪神の優勝に見るスポーツ文化

 阪神タイガース、優勝おめでとうございます。優勝した15日、僕は私用で甲子園に行ったんだ。中には入っていないんだけど、ツタに囲まれた球場の雰囲気にすごく歴史を感じた。車で1周してみて、熱狂的なファンの声援もよく聞こえたよ。

 阪神は「クラシック(伝統)」という言葉がぴったりくる。それがたまらなくしびれるね。巨人も伝統はあるけど、例えるなら「デジタル」で、対する阪神は「アナログ」かな。僕はどちらかというとアナログ人間だよね。分かるかな?

 甲子園には生き証人みたいな、色々なおじさんがいるでしょう。そういうおじさんと若い人たちが入り交じって、一体となっているのは素晴らしいこと。50年ぐらいずっとチームを見てきたような人が、サッカーにも必要だと思う。サッカーでも伝統を作っていかないとね。

 不満に思ったこともある。テレビで「野村さん(前阪神監督)の時代は一体なんだったんだ」とか、「星野監督になって急に強くなった」とか、優勝に便乗して軽々しく言うコメンテーターがいたことなんだ。

 スポーツに対する「リスペクト(尊敬)」がないな、日本のスポーツ文化はまだ低いなと感じた。元プロ野球選手の解説者が、「それは違う」とびしっと指摘してほしいね。お祭り騒ぎで通り過ぎてしまったら、スポーツ文化はよくならない。

 野村さんがいた3年間で育った選手は、今のチームにもいるでしょう。星野監督だって優勝するのに丸2年かかった。球団は時間とお金をかけ、的確な補強もしている。それをまとめた監督のカリスマ性というのがあって初めて優勝したわけで、身が擦り切れるような重圧の中でようやく得た栄冠だった。

 一方でヴィッセルはどうか。今はとにかく勝つしかないよね。選手一人ひとりが自覚を持って苦境を乗り越えなくちゃいけない。(隔週金曜日に掲載、次は10月3日)

(神戸新聞、2003年9月19日掲載)


※このテキストを三浦知良および神戸新聞社に無断で転載することを禁止いたします。

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