LOCKER ROOM


「サッカー小僧」第9回


キーちゃん−僕にとって常に刺激だった−

 キーちゃん(北沢豪氏)の引退試合に出場させてもらった。新たな門出を祝う試合に参加できて本当に感謝している。

 ロッカルームでは元ヴェルディの選手の同窓会みたいだったけど、昔から本番では常に百パーセント以上の闘志でプレーできる集団。キーちゃんは相変わらずの全力プレーだったし、ラモスさんや都並さんも持ち味を出そうと懸命だった。

 武田氏も現役時のようなトラップミスをしていて、おかしかったよね。

 キーちゃんと初めて出会ったのは1991年。彼が日本代表に入ってきて、宿舎で同部屋になった。いびきがうるさくってね。すぐ打ち解けて一緒に沖縄へ旅行もした。

 98年、2人がワールドカップ(W杯)メンバーから外れたときは一緒にいられてよかった。黙っていても通じ合うもの−。あの気持ちは他のだれにも分からない。

 彼の存在は僕にとって常に刺激だった。やはりサッカーに対する姿勢もね。監督に「この野郎!」と怒って、文句を言うだけではなく実際にプレーで主張できる。最近ああいう選手はいない。

 97年のW杯予選のときには1度は外された日本代表に返り咲き、チームの雰囲気をいい意味で大きく変えてくれた。彼は日本をW杯に導いてくれた選手の一人だと思う。

 だから、日本サッカー界全体で盛り上げなければならない引退試合だった。信じられないのは、そんな場に選手を出すことを最初から断ったチームがあること。事情があるにせよ、協力する姿勢は見せるべきだと思う。

 福田氏の場合もそう。井原氏にしても代表であれだけのキャップ数を持っているし、現代表のメンバーで引退試合をやってあげるべき。プロとして実績を残した人を、きちんと送り出さないと。

 僕はやれることを信念を持ってやっていくだけ。現役を退いていくだれかのためにではなく、自分のために。(隔週金曜日に掲載、次は7月11日)

(神戸新聞、2003年6月27日掲載)


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