LOCKER ROOM


「サッカー小僧」第1回


−誇り−市民にとってなくてはならないヴィッセルに

 2年間神戸にいて、何かグラウンド外で残したものがあるか? 2年前にイチロー君が去って、永島さんが引退して、町ぐるみであれだけ盛大に僕を迎えてくれて、やっぱりそういう意味で物足りないものがある。

 このクラブには市民との「一体感」が欠けている。地元とのかかわりを持つために何をしなきゃいけないかって考えたときに、その第一歩が小学校の訪問だったり、こうして僕から見た神戸、自分やチームメートのこと、サッカーに対する考えなんかを伝えていくことなんです。それによって他の選手たちも身近に感じてもらえたらと。

 小学校で子どもたちの考えを聞いて、僕らも得るものがあった。ジェノアは僕が入ったときが100周年で、当たり前のようにこういう活動をしていた。1回や2回じゃなく、何年も続けていくことで市民にとってなくてはならないヴィッセルになってほしい。

 神戸の街はとても過ごしやすい。海と山に囲まれていて、空気がとてもきれい。2年間いろいろな人と知り合って、神戸の人は神戸が好きで誇りに思っていますよね? それを言葉にして言えることはすごいことだと思いますよ。

 昨年までいた平野や重良(望月)、今いる兄貴(三浦泰)やヤマ(山口)や岡野なんかは、外から来た人間で神戸出身ではないけど、みんなで「チームが強くなったら言うことない」って話しているぐらい、いい街。そういうところで今年はホームがウイングスタジアムになる。ほんと上位に食い込みたいよね。

 8日からナビスコカップが始まる。昨年の二の舞いにならないように、3月の「出足」と4月までの「勢い」が重要。ナビスコでうまくいかなくても立て直せるっていう考えでいると、同じような結果になるでしょう。チームとしてのタイトルもほしいし、チャンスだと思う。決勝でしか味わえない喜び、そして屈辱。「この試合に勝たなきゃ何も残らないんだ」という気持ちを実感することが、チームを成長させていく。

 とにかく僕はスタメンで出ることを意識して戦いたい。36歳、ベテラン、キャプテン…。グラウンド外での役割っていうのを言われる中で、それを「逃げ」にしたくない。今はスタメンではないけれど、そういう状況だからやる気になる。

 36歳になって体のことは今まで以上に気を付けなければならない。誕生日にいろいろなメッセージをもらった。みんなが願っているのは元気な姿でグラウンドに立っているっていうことだし、ゴール場面を一つでも多く見たいっていうこと。それは僕の願いでもある。

 昨年の天皇杯が終わった後でも走り込みとかオーバーワークにならない程度のトレーニングと休養のバランスを取ったんで、今のところけがの心配はない。今年はいい流れを自分で持ってこられるように集中したい。(隔週金曜日に掲載、次は21日)

(神戸新聞、2003年3月7日掲載)


※このテキストを三浦知良および神戸新聞社に無断で転載することを禁止いたします。

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