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「カズ魂」第32回


「聖地」の記憶が歴史を作る

 欧州王者と南米王者が対戦する12月3日のトヨタ杯は横浜国際が会場になった。国立競技場以外で開かれるのは初めてだそうだ。20日のアルゼンチン戦も埼玉スタジアムだった。W杯をきっかけに、いいスタジアムが増えた影響だろう。

 僕が以前プレーしたブラジルなら「世界最大」のマラカナン、イングランドなら「聖地」ウェンブレー。大抵の国には、重要な試合の会場となる、象徴的なスタジアムがある。日本で言えば、僕にとっての「サッカーの聖地」はやはり国立だ。

 国立にはいろいろな思い出がある。以前はW杯予選をはじめ、日本代表の試合では必ず会場になっていたし、天皇杯の決勝戦で感じる雰囲気は特別なものだ。大観衆の中、国立のピッチに立つといつもと違う緊張感が生まれ、プレーに好影響を与えてくれる。「聖地」とは、そういう場所だと思う。W杯以降はイメージが薄いけど、代表の試合はいつも国立を使って欲しいな。

 国立の名勝負と言えば、木村和司さんが直接FKを決めた85年の日韓戦が必ず挙げられる。こうした一戦一戦の記憶が積み重なって、サッカーの文化となっていく。横浜国際ならW杯決勝、埼玉スタジアムならW杯日本−ベルギー戦が語り継がれ、新しい歴史を作っていくのだろう。


 高円宮さまが22日に亡くなられた。サッカーを愛され、試合の際には親しく接していただいたことを思い出す。心から哀悼の意を表します。

(朝日新聞、2002年11月26日掲載)


※このテキストを三浦知良および朝日新聞社に無断で転載することを禁止いたします。

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