「聖地」の記憶が歴史を作る
欧州王者と南米王者が対戦する12月3日のトヨタ杯は横浜国際が会場になった。国立競技場以外で開かれるのは初めてだそうだ。20日のアルゼンチン戦も埼玉スタジアムだった。W杯をきっかけに、いいスタジアムが増えた影響だろう。
僕が以前プレーしたブラジルなら「世界最大」のマラカナン、イングランドなら「聖地」ウェンブレー。大抵の国には、重要な試合の会場となる、象徴的なスタジアムがある。日本で言えば、僕にとっての「サッカーの聖地」はやはり国立だ。
国立にはいろいろな思い出がある。以前はW杯予選をはじめ、日本代表の試合では必ず会場になっていたし、天皇杯の決勝戦で感じる雰囲気は特別なものだ。大観衆の中、国立のピッチに立つといつもと違う緊張感が生まれ、プレーに好影響を与えてくれる。「聖地」とは、そういう場所だと思う。W杯以降はイメージが薄いけど、代表の試合はいつも国立を使って欲しいな。
国立の名勝負と言えば、木村和司さんが直接FKを決めた85年の日韓戦が必ず挙げられる。こうした一戦一戦の記憶が積み重なって、サッカーの文化となっていく。横浜国際ならW杯決勝、埼玉スタジアムならW杯日本−ベルギー戦が語り継がれ、新しい歴史を作っていくのだろう。
◇ 高円宮さまが22日に亡くなられた。サッカーを愛され、試合の際には親しく接していただいたことを思い出す。心から哀悼の意を表します。
(朝日新聞、2002年11月26日掲載)
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