W杯の「果実」は数年後に実る
ワールドカップ(W杯)の印象はまだ薄れていない。僕が生で見た試合は神戸であったブラジル−ベルギー戦だけだったけれど、ブラジルのほかの試合と日本戦だけは欠かさずテレビで観戦した。
ブラジルの選手の素晴らしい個人技を見て、自分にも採り入れたくなった。優勝したことで注目されたし、僕にとっても刺激になった。でも1次リーグで敗退したフランスの方が、チャンスの作り方では上だったんじゃないかな。みんなはどう思う?
日本は決勝トーナメントには勝ち進めると思っていたから予想通りの活躍だった。トルコに負けた試合では、それまでと先発メンバーを変えたことをジーコ監督が指摘していたけど、僕はトルシエ前監督の考え方も理解できる。ブラジルのセオリーでは「勝っているチームはいじるな」だけど、新しいモチベーションをチームに注入しようとしたトルシエ前監督の策は欧州的で、彼らしい。どちらも正しいと思うし、考え方の違いは興味深かった。
W杯は大きなイベントだったから、後に残る影響は大きいと思う。でも、すぐに目に見える現象、例えばJリーグの観客数が急に増えたことや、一時の盛り上がりでサッカーが取り上げられることは水面で揺れているさざ波のようなもの。本当にW杯をやって良かったと思えるような大きな変化を実感できるのは、4年後や8年後なんじゃないかな。その時にはもう、02年のおかげだったと気付く人は少ないかも知れない。
(朝日新聞、2002年9月24日掲載)
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