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「カズ魂」第28回


W杯の「果実」は数年後に実る

 ワールドカップ(W杯)の印象はまだ薄れていない。僕が生で見た試合は神戸であったブラジル−ベルギー戦だけだったけれど、ブラジルのほかの試合と日本戦だけは欠かさずテレビで観戦した。

 ブラジルの選手の素晴らしい個人技を見て、自分にも採り入れたくなった。優勝したことで注目されたし、僕にとっても刺激になった。でも1次リーグで敗退したフランスの方が、チャンスの作り方では上だったんじゃないかな。みんなはどう思う?

 日本は決勝トーナメントには勝ち進めると思っていたから予想通りの活躍だった。トルコに負けた試合では、それまでと先発メンバーを変えたことをジーコ監督が指摘していたけど、僕はトルシエ前監督の考え方も理解できる。ブラジルのセオリーでは「勝っているチームはいじるな」だけど、新しいモチベーションをチームに注入しようとしたトルシエ前監督の策は欧州的で、彼らしい。どちらも正しいと思うし、考え方の違いは興味深かった。

 W杯は大きなイベントだったから、後に残る影響は大きいと思う。でも、すぐに目に見える現象、例えばJリーグの観客数が急に増えたことや、一時の盛り上がりでサッカーが取り上げられることは水面で揺れているさざ波のようなもの。本当にW杯をやって良かったと思えるような大きな変化を実感できるのは、4年後や8年後なんじゃないかな。その時にはもう、02年のおかげだったと気付く人は少ないかも知れない。

(朝日新聞、2002年9月24日掲載)


※このテキストを三浦知良および朝日新聞社に無断で転載することを禁止いたします。

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