BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2006年07月14日(金)掲載

“サッカー人として”
2006年07月14日(金)掲載

熱い心で戦えたか

 楽しい1カ月が終わってしまった。今回のワールドカップ(W杯)、僕はリーグ戦の真っ最中だし日本時間の夜中の試合が多かったから、日本とブラジルが負けてからは生放送で見ることが減ったけれど、新聞を開けばサッカー一色。そんな幸せな日々が終わってしまうのは寂しいね。


 日本代表の結果は本当に残念。やはりオーストラリア戦の3失点がすべてだった。率直に言って、クロアチア戦の引き分けとブラジル戦の黒星は計算通りだったはず。オーストラリアに勝って勝ち点4で突破、うまくいけばクロアチアにも勝って勝ち点6というシナリオ。それが全部、最後の6分で狂ってしまった。


 今大会でわかったのは、進化しているのは日本だけじゃない、ほかの国も同様に成長しているということ。そして戦う気持ちの大切さ。どのチームも負けたら国に帰れないという覚悟で、控え選手も含めて全員がギラギラしていた。そのギラギラ度が高いチームが勝ち上がっていた。


 日本では技術や戦術が重要視されがち。しかし今大会、どれだけ熱い気持ちを込めて戦えただろうか。チーム一丸となって戦えただろうか。日本人は良くも悪くもクールなところがあって、控え選手がさめているように見えた。たぶん選手に聞いたら、そうじゃないって言うだろう。でも、自分自身に問いかけてみてほしい。きっとそういう部分があったはずだ。


 ヒデ(中田英寿)の引退は驚き半分、納得半分。今にして思えば、大会前からそれを示唆する言葉がいくつかあった。彼の10年余りのプロ生活は中身がギュッと凝縮されたもので、心身共に目いっぱいのところまでプレーしたのだろう。それは幸せなことだ。


 ヒデも10年前に比べたら柔らかくなったよね。あと10年たてばもっと柔らかくなって、もっとサッカーが楽しくなる。のしかかる重責をうまく受け流せるようになる。それを味わってほしかったとも思う。


 僕の場合はケガだったり走れなくなったりしなければ、引退なんて考えもしないけれど、年齢的にピークのときにスパッと辞めるのも一つの考え方。今後は「新しい旅」を楽しんでもらいたい。