BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2009年05月01日(金)掲載

“サッカー人として”
2009年05月01日(金)掲載

試合は多い方がいい

 昔から、連戦でもつらいと思うことは一度もなかった。試合をできることが、どれだけうれしいことか。試合のために練習するわけで、その逆じゃない。この大型連休は中2日で4連戦だけど、一番の楽しみが続けてやってくる、まさにゴールデンウィークだ。


 1992年、猛暑の北京で日本代表が優勝したダイナスティカップ。一日おきで3試合、8日間で4戦も戦った。僕は全試合フル出場したけれど、苦にならなかった。疲れても一日寝れば治る、とね。パフォーマンスも落ちなかったし、韓国、中国、北朝鮮と戦うごとに調子も上がり、MVPに。当時の北京は娯楽が少なく、早く日本に帰りたかったから、「決勝も中1日でいいや」と思ったくらい。タフだったなあ。


 ブラジル南部のチームにいたときは、アウェーに向かうにも飛行場まで6時間、向こうの飛行場から試合会場まで4時間。バスに揺られて24時間なんていう長旅もあった。24時間の移動を経験すると、10時間少しなど「なんだ、一眠りだな」と思えてくる。あの日々が今に生きているし、だから僕は今でもやれている気がしている。


 日本は移動や過密日程に敏感だ。繊細ともいえるだろう。ブラジルはタフ。例えばスパイク一つでも、感触や履き心地には日本人が一番うるさいらしい。片やブラジル人はクラブ世界一を決める大一番でも、前日にもらった新品スパイクを一度も試さずに本番で履いてしまう。そして普通にプレーする。「俺は技術があるから大丈夫」という考えが先にあるんだね。


 試合はたくさんした方がいい。週2回ある方が選手は育つし、チャンスもみんなに行き渡る。それで質が落ちるのなら、技術が足りないということ。ブラジルの下部チームは試合の減る時期も、3つの州で集まって大会を開いたものだ。そこで手にした3万円ほどの優勝賞金が僕にはうれしかった。日本でも1試合の勝利ボーナスを3,000円でもいいからかけて、「九州」「関東」などのくくりで試合を企画してみるといいんじゃないか。勝てばお金がもらえる、という風に意識も変わっていくだろう。各地でチームは増えているわけだし、試合を多くするためにどうするか、考えどころだね。