BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2008年08月29日(金)掲載

“サッカー人として”
2008年08月29日(金)掲載

五輪どう位置付ける

 北京五輪では多くの感動を与えてもらった。ソフトボールの金メダルや陸上の男子400メートルリレーの銅メダルは素晴らしかったし、敗れてしまった選手たちの健闘ぶりも印象的だった。テレビで見ていた子供たちの心に、深く刻まれただろう。


 僕もカール・ルイスやコマネチの姿を覚えていて、今もアスリートとして目標にしている部分がある。北京で選手が流した、うれし涙も悔し涙も子供たちに大きな影響を与えたはず。そんな教育面を考えて、国はこれまで以上にスポーツ支援に力を入れてほしい。


 注目度が高かった野球は残念ながら、4位に終わった。「ソフトボールは金メダルなのに、野球はふがいない」と言う人がいるけれど、この結果を簡単には比較できない気がする。それぞれの競技が五輪をどう位置付けているのか、という前提が違うからだ。


 ソフトボールや女子サッカーなど多くの競技では五輪を最大の目標にして4年間努力しているけれど、男子サッカーではワールドカップ(W杯)が一番重要だし、テニスもウィンブルドンなどの四大大会を重視している。では、野球はどうなのだろうか。イチローさんら大リーグ選手が不参加だから、「最強チーム」とも言えない気がする。


 韓国は五輪期間中に国内リーグを休んでいた。キューバは何カ月も合宿を積んでいたらしい。日本選手団の団長は、日本も十分な合宿をして臨むべきだと指摘していた。確かにその通りだけれど、韓国と違って五輪期間中もペナントレースを続けていた日本は現実には無理だった。


 他競技のように全体を統括する国際連盟や日本協会という組織がないから、日程調整や大会の位置付けが難しいのだろう。ただ、厳しい国際試合を勝ち抜くためには、プロとかアマチュアという立場に関係なく、十分準備して最高の状態で臨める選手が出るべきで、そのための環境づくりという部分が一番大切だ。


 もちろん現場で全力を尽くした監督や選手たちは、悔しい思いをしたはず。野球は五輪競技から外れるから、この悔しさを晴らすにはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)という場で結果を出すしかない。北京での経験が、前へ進むきっかけになればいいね。