BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2008年02月15日(金)掲載

“サッカー人として”
2008年02月15日(金)掲載

F1マシンのような体

 練習で鍛えているアスリートは、一般の人より体が丈夫で病気にも強いと思われがちだけれど、意外とそうでもない。ここ数年、乾燥する冬には僕もよく風邪をひく。微熱が続いて体がだるく感じることもあるし、カラオケの歌いすぎのせいか、ノドが痛くなることも多い。


 確かにサッカー選手は体調を維持するように気をつけている。でもそれはサッカーをするための体づくりだ。筋肉質で、持久力も瞬発力もあって体脂肪率は一ケタをキープ。そんな体だから、きついトレーニングに耐える強さはある一方で寒さに弱いし、体力を使い切るからウイルスにも弱い。40代の男性なら、体脂肪率は少なくとも12、13%くらいはあった方が抵抗力もあって健康体なんだろう。


 グラウンドでプレーしているときは集中しているから、熱が多少あっても大丈夫。足に故障を抱えていても、5万人の大観衆の前に立つと痛みが消えてしまうことがある。しかし、試合の翌日になるとダメ。試合では走り回れるのに、家のソファから立ち上がるときがつらかったりする。


 車に例えると、アスリートの体はF1マシンのようなものだろう。時速200キロでレース場を走ることには優れている半面、街中を徐行運転することには向いていない。


 プロ23年目の僕の場合、23年落ちの車体でレースに出ているのと同じだ。鍛え続けてきたエンジン(心肺機能)は強いけれど、一度走るとタイヤ(筋肉)がすごくすり減るし、サスペンション(関節)への負担も大きい。だから専属エンジニア、つまりトレーナーや調理師にケアをしてもらいながら戦っている。時々、彼らの指示を無視して夜の六本木・麻布方面へ“テスト走行”に出掛けることもあるけれど。


 そういった遊びもリフレッシュの一環だとすれば、24時間すべてがサッカーのためだ。食事や睡眠も仕事の一部。現役を終えればそんな生活も終わるけれど、それでも僕は常に自分を高めていたい。目標は10年後に同じスーツを着られる体でいること。絞り込んでいる今のウエストのサイズを維持するのは難しいとわかっていても、ベストな自分を意識しながら生きていたいんだ。