BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2007年09月21日(金)掲載

“サッカー人として”
2007年09月21日(金)掲載

アジア勝ち抜く大変さ

 北京五輪の予選を戦っているU-22(22歳以下)日本代表について、批判をする人が多いらしい。ここまで最終予選3試合で2勝1分けという十分な結果を残しているけれど、試合内容が悪いとか、もっとたくさんゴールを取れるはずだという不満がたまっているようだ。


 見ている人からすると、日本はアジアでは楽に勝って当たり前という認識なのかもしれない。でもオシム監督がよく戒めるように、日本が成長している一方で他の国々も成長している。それは先日のアジアカップで決勝トーナメントに進出したベトナムを見てもわかるし、ドイツワールドカップ(W杯)の予選で日本はバーレーンやシンガポールに苦戦したばかりだ。


 アジアの国に勝つことの大変さを僕は身にしみて知っているから、五輪予選でカタールにしっかり勝っただけで立派だと思う。Jリーグではあり得ないようなところからタックルの足が出てきたりする。それが国際試合の難しさだし、22歳以下の五輪予選では若さに任せた激しいプレーも飛び出す。


 試合内容が良くないと言われるのは、それだけ見る人の目が肥えてきたからでもあるのだろう。でも逆の立場で考えてみると、ブラジルなどの強豪国でも日本から大量点を奪うのは簡単なことじゃない。試合の流れで結果的に大差がつくことはあっても、技術や経験で上回るからといってゴールをたくさん奪えるとは限らないんだ。あのイングランドですら1994年の米国W杯の出場を逃したりしている。


 以前、日本はマレーシアなどの東南アジアの国々からサッカーを教えてもらう立場だった。僕が日本代表に入ったころはタイに勝つのも楽ではなかったし、韓国との通算対戦成績は今でも圧倒的に負け越している。今でこそ日本はアジアのトップクラスだけれど、それはここ15年くらいに限った話だからね。


 サウジアラビアやイランからすれば、以前は日本なんて確実に3-0くらいで勝てる相手だったはず。それが今ではアジアのトップの一つになった。過去に格下だった相手が、今も弱い保証なんてどこにもない。何より日本が、一番それを証明しているんじゃないかな。