BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2024年03月15日(金)掲載

“サッカー人として”
2024年03月15日(金)掲載

「個」が強すぎて

 個々人の力を伸ばすことが、チームを強くする道だとよく言われるけれども、欧州でサッカーをしているとその「個」が強すぎるかもと思う場面も、しょっちゅうある。


 先日、オリベイレンセでのミーティング。「お前のこの動きが、この結果を招いたんだぞ」。監督が某FWを名指しでやり玉に挙げた。個人の過失、責任を糾弾し、「何か言いたいこと、あるか」と尋ねる。


 ここからの展開が日本とは違うところで、言われた方がおとなしくしていない。「ある!」と反論をまくし立て、けんか腰の言い争いになだれ込んでいく。


 今はプレーが映像ですぐ分析され、問題とされる場面が証拠のごとく切り抜かれて示されやすくもなっている。そのFWは怒り心頭、移動の車中で八つ当たりしてガラスを割るわ、イライラを練習に持ち込むわで、解決になったのかどうか。


 欧州を経験した選手らとこのテーマについて話すと、ほぼ意見の一致をみる。「欧州ではどこのチームでも、基本的に選手は自分のことしか考えないです」。何事も「俺が」と主張するスタンスは、組織がうまくいかないときは「俺はこうしている」と、原因を周りに求めがちにもなる。個のぶつかり合い、責め合い。好転させようとまとめる立場の人間は大変だよ。


 日本人はみんなで力を合わせる意識が強いとされている。自己主張の強い海外の選手は、自分がシュートを打つと決めたら、味方がいい場所にいようが打つ。日本人は自分がゴールを狙うより、より良い位置に味方がいれば可能性の高いそちらを選ぶ。弱点はカバーし合う。


 そうした特性は「戦術などでもたらされたものでなく、日本の文化から発したもので、彼らは自然に身についている」と、かつて日本代表を率いたトルシエが持論を述べていた。うなずく人は多いんじゃないかな。


 過激な個人攻撃は「Jリーグだと珍しいです。監督は選手へ向ける言葉に相当、気を使っている」と元欧州組の一人は話していた。「でも、気を使いすぎているかも。本当のこと、言うべきことを言っていないのではと感じるときもある」


 その通りで、過保護が過ぎると、今度は選手がタフにならない。思えば僕もブラジルで過ごした10代から、疑問に感じることは誰に対しても主張してきた。タフでなければ生き残れないから。今でもつい監督に「この選手をああやって起用するのは、理にかなわないのでは」と発言してしまう。


 個人の非を指摘するにしても、フォローの言葉を付け加えるなどやりようはある。言い方に伝え方、ひっくるめてコミュニケーション力が問われるのかな。個がどうあるべきか、どちらか片方が正解というものじゃない。そして正解が分からないとしても、僕らは勝利という答えを出していくしかない。ともかく頑張ります。