BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2019年03月15日(金)掲載

“サッカー人として”
2019年03月15日(金)掲載

道ができれば人が続く

 今季からJリーグは外国人選手を何人でも登録でき、出場もJ1は5人まで可能になった。一流の選手が入ってくることで学ぶものは多い。ただ、何事にもメリットとデメリットがある。


 EU加盟国内での選手の行き来が自由になったことでイタリアはつまずいたと、昨秋に会ったR・バッジョが嘆いていた。「外国人に頼りすぎたことでいい若手が育たなくなった」。言われてみれば、日本はGKとセンターフォワード(CF)が「弱点」とされている。そしてJリーグのチームの多くがその両ポジションを外国人に任せている。アジアで屈指のいいMFが育つという定評はこの20年ほど揺るがない一方で、CFの育成となると先んずるのは韓国。


 どの国のサッカーも手軽に見られて、世界は身近に、垣根も低くなった。人や物が流れ込む現実はもはや止められないだろう。並行するように、世界の様々な場所で挑戦してみたいという日本選手も増えている。であれば日本への入りやすさだけでなく、出て行きやすくする環境づくりも大事だね。


 タイやカタールはJリーグの提携国で、それらの国の選手は外国人としてカウントされずに入ってこられる。でも韓国や中国でプレーしてみたい日本選手には、当国の外国人枠の壁がある。現状は一方通行。アジアはもとより、ヨーロッパの国々とも6-7カ国で提携し、行き来を自由にする枠組みがあってもいい。そのためには協会やリーグにもっと頑張ってもらわないと。


 先日、16歳のときにいたジュベントス(ブラジル)時代の先輩と“再会”した。きっかけは、横浜FCのオランダ人選手のもとにきた「カズとジュベントスで一緒だった」という投稿。名前だけではピンとこなかったけど、連絡先を伝えてみると通話アプリに写真が届いた。確かに彼。36年も音信不通だったのに、離れたものがこうして飛び交い、つながる。それほどに情報も人も流れ込んでくるわけで。


 今は某クラブの副会長らしく、僕に興味を示す。でも結びは「俺が日本で仕事をできる道はないか」。僕に接触してくる人は、どうもみんなつてが目当てで……。


 ともあれ、道ができれば出てみようとする人が続く。僕だって、いけるものなら今でもいきたいものね。「こっちでやる気はあるか?」という問い合わせはブラジルからちょくちょく来るし。広い世界が相手なら、自分を面白いと思ってくれる人に出会えるチャンスもそれだけ増えるのだから。