BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2018年02月02日(金)掲載

“サッカー人として”
2018年02月02日(金)掲載

33年目も毎日が未知

 三浦家そろって午後9時からテレビドラマを見ようとしたときのこと。「じゃ、寝るわ」と一人立ち上がった僕に、息子は虚を突かれたみたいだった。「え? 早くない? 木村拓哉さん主演だよ」「見たいけどさ、最後まで見たくなると午後10時だろ。10時からベッドに入ると眠るのは10時を過ぎるだろ。9時にはベッドへ入って9時45分には眠りたいんだ。我慢するよ」。


 朝から晩までトレーニングしかしない自主トレやキャンプのこの時期は、幸せなときでもある。グアムの自主トレだと車にも乗らず、外食もせず、一カ所で練習も生活も完結できる。体調は目に見えて上向く。


 とはいっても、そうしてみっちり仕上げてチームへ合流してみて、少し裏切られるときもある。20年前なら自主トレを経ると「よく走れるな」と実感できたのが、「こんな程度か」としか成果を感じられないときも。やればやるだけ実になる年齢かというと、そう言い切れない難しさ、ズレ。


 ここから1シーズン、自分がどうなるのか。試合に出るまでに状態を上げられるか。出れば出続けたで、体がどう反応するか、つぶれないか。あるいは出ないなら出ないで、体が衰えていかないか。正直、分からないし、予想はつかない。


 分からないことばかり。だって51歳は初めてだものね。これだけ現役として生きてきても、プロ33年目はまた振り出しからというか、どれだけ経験があろうがまだまだ“経験不足”です。


 グアムには元日本代表の田中隼磨選手(35)もいて、技術の練習でも走ることでも、メニュー一つ一つ、何一つおろそかにしていなかった。だから高い水準でプレーし続けられるんだなと納得する。ウオーミングアップを単なる練習前の準備運動と考える人もいるけど、そうじゃない。その運動をどうすれば自分の体に良いか、試合につながるか、先を見据えた意味を踏まえながらやるものなんだ。


 51年目へ臨む僕に「これだけやれば大丈夫」という後ろ盾はない。過去も成功体験もあてにできないだろう。毎日が未知。ならば毎日、考えたい。ウオームアップの一歩に、寝る時刻の15分差に、自分を高めるための細部に、こだわる。


 分からないことに挑む2018年の毎日を、そうやって楽しんでいきます。