BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2017年09月29日(金)掲載

“サッカー人として”
2017年09月29日(金)掲載

リーダーのあるべき姿

 政党なら党首、ピッチ内ならキャプテン、リーダーとはどうあるべきか。正直に言えば、リーダーなるものに大きな意味はないとブラジル時代は思っていた。


 一人ひとりが個人事業主であり、自分の役目と責任を果たすことでチームの助けになるのがプロ。なれ合い、仲良し集団になる必要まではないし、自分はどうあるべきかを個々人が問う集まりならみんながリーダーであるべきで、「キャプテン」は重要じゃないはずだ。


 ただし何千匹もが無秩序に動くかのようなアリの世界にもリーダー格はいて、統率がとれていると聞く。無法者のようなワルの集団にも長や副長ができ、必要な規律が保たれていく。生き物はおしなべてそうなんだろう。やはりピッチにもリーダーがいると助かるね。


 プレシーズンの鹿島アントラーズとの練習試合。小笠原満男選手が休むことなく周りを鼓舞し、同時に励ましていた。優勝も、それを逃す経験もした選手が率先して行動し声を出す。ああいう存在がいるから鹿島は強いんだ。


 今週の横浜FCの練習後には、円陣で監督が「若いやつの声が出てない。もっと要求しろ」と怒った。確かに20歳のヒデ(中田英寿氏)は当時から指示されずともすごく高い要求を周りへしていてね。衝突も辞さず、物おじせず、言うべきことは言う。おのずとリーダーシップを発するというか。


 練習での声については「とにかく出し続けること。そうすればやがて意味ある意見もできるようになる」という見方もあるみたい。ただ、イタリアでは練習中の掛け声や私語は禁止、みんな黙って練習するクラブもある。リーダーシップのあり方は一つじゃないでしょう。


 選手に「もっと発言し、要求をしろ」と求める監督も、ヒデくらいの要求を自分へ向けられたら困っちゃうかもね。「そこまで食ってかかれとは言ってない!」と、嫌がるかもしれない。


 でもイエスマンで文句も言わない“いい子”が、腹の中では「この監督、負けて早く辞めないかな」と思っていないとも限らない。逆に要求の高い選手は、それだけチームの勝利に真剣なことも多いんだ。つまり煙たい選手の方が、最も監督と同じくらい突き詰めて考えていて、頼りになったりもするわけで。自己本位で自分勝手に見えても、勝つために言える人。それもリーダーのかたちです。