BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2007年02月23日(金)掲載

“サッカー人として”
2007年02月23日(金)掲載

40代はミステリアスに

 来週月曜日(2007年2月26日)は僕の誕生日。40歳だ。Jリーグの40代の現役選手といえば、僕も同じチームで一緒にプレーしたラモス(瑠偉)さんがいた。僕が初めてラモスさんに会ったのは、たしか21年前。なのに雰囲気や印象は今も出会ったころとほとんど同じ。年齢不詳というか、年なんて関係ない感じだ。


 僕は今の25歳くらいの選手にオジサンと思われているかもしれないけれど、ずっと変わらないラモスさんを目指したいね。


 今までの節目を振り返ると、30歳のころにサッカー選手として一番焦りがあった。体が動かない、衰えてきたということを急に感じたから。どう対処すればいいかもわからなかった。


 それまでは調子が悪くなると、練習や筋トレで追い込めば元に戻った。同じようにやればいいと思ったのが間違いで、逆に体が重たくなってすぐ疲れてしまうし、ダッシュをしてもキレが無くなってしまった。こんなはずはない、というもどかしさがあった。


 それがちょうど1997年から翌年、日本代表に関してカズ不要論がわきあがったころだ。コンチクショウと思ったけれど、そういわれても仕方がない状態だった。それだけパフォーマンスは落ちていたから。今までで一番苦しい時期だった。でもその経験のおかげで、この10年間頑張ってこられた。休息も必要だということ、年齢に合わせたトレーニングというものをつかむことができたから。


 つけすぎた筋肉をそぎ落として、量より質を意識した練習に切り替えていく中で、32歳のころにようやく楽になった。若いときにしっかり鍛えていた蓄積があったからこそ、筋肉や練習量を「落とす」ことができたんだろう。そうでなければ落としても単に体力がなくなるだけで、引退へと向かっていくことになる。


 今はそのときのような急速な衰えは感じない。もちろん見えない部分では少しずつ力が落ちているはず。それを食い止めようと日々努力している。たとえ若々しくはなくても、生き生きとした選手でいたい。「カズ、40歳だけど本当に大丈夫かな」とファンのみんなを心配させつつ「でもなぜか期待しちゃうんだよな」と思ってもらえるようなミステリアスな部分。それが40代のテーマだね。