BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2016年08月05日(金)掲載

“サッカー人として”
2016年08月05日(金)掲載

悔しささえ忘れなければ

 リオデジャネイロ五輪サッカー男子日本代表がブラジル五輪代表と戦う試合を見て、懐かしさがこみ上げてきた。あのゴイアニアのセーハ・ドラーダ競技場で僕もブラジル選手権を戦っている。1得点1アシスト、3-2で勝ったからよく覚えている。すり鉢状の会場の面影なんて、あの頃のまま。あれは1989年、僕が22歳のとき。今の五輪世代と同じ年ごろに、同じ場所で僕も戦っていたんだ。


 そうした年ごろ、五輪を担う「23歳以下」の23歳という立ち位置は、日本と世界ではだいぶ違う。日本では大学卒の選手も多くて「新人」のイメージもあるけれど、世界で23歳はもはや新人じゃない。17や18歳でデビューする海外では“若い”のは20歳ころまで。僕も22歳のころは、あのゴイアニアでのブラジル選手権のようにバリバリやっていたわけだし。いまブラジル五輪代表で24歳のネイマールとともに前線を組むバルボサとジェズスの「二人のガブリエル」はともに19歳。それがスタンダードなんだね。


 親善試合でのブラジルの力は体験したこともないレベルで、それくらい圧倒的な差だったと、日本の選手の発言からうかがえる。僕はね、それこそが求められていたものだと思う。今回のような体験があって初めて、僕たち選手は「……日本にとどまっていてもダメなんじゃないか? 世界へ、こういう選手と戦う場所に行かなければ」と気づく。気づけば、誰でもたどり着けるものじゃない。でもゴイアニアで刻まれたものを彼らが日本に持ち帰れたとき、取り組む姿勢が変わってくる。それが他の選手にも伝わっていく。


 打ちのめされるのは、楽に勝てる相手と戦うよりもはるかにいい。次に1次リーグでピッチへ立つとき、違ってくる。本番前は本番前、と割り切って前を向こう。胸の奥の悔しさだけ忘れていなければいいんだ。


 ただ気になるのは、いまのブラジルは“らしく”ないこと。2年前のワールドカップ(W杯)準決勝で7-1と大敗、南米選手権も不振が続き、今年は1次リーグ敗退。このフル代表の屈辱を、昔なら相手にもしなかった原則23歳以下の五輪で晴らしておきたいという下心が、どうも……。そんな形で埋め合わせをしたいという焦りが、一番心配。


 王国なんだからドンと構えていなきゃ。ブラジルの力を示すのはそこじゃないでしょ、W杯の雪辱はW杯でしか果たせないでしょ、と声を大にしたいですね。