BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2014年02月14日(金)掲載

“サッカー人として”
2014年02月14日(金)掲載

休んでいる場合じゃない

 いい準備をしなければ、何も始まりはしない。今年もそんなことを考えながらキャンプを過ごしている。試合が続くシーズン中なら、みっちり練習できるのは週3回ほど。横浜FCは1月の1次キャンプ、5日間で9度の練習を消化した。ざっと3倍だ。負荷の量も質も高まるから、この時期は選手が故障へと追い込まれるときでもあるね。


 体が壊れそうだからとすぐ休むと、大切な練習量が減る。とはいえ無理すればケガを引きずり一年を過ごすことになる。しんどさを乗り越える勇気と、休む勇気。見極めが難しく、とても神経を使うところだ。


 「ちょっと……休まなきゃだめかな」。沖縄2次キャンプの2月5日(2014年)、練習前にトレーナーが僕の体の異変を感じ、ぼそっとつぶやく。僕は休みたくなかった。練習に出てウォームアップ。「……だめだ」。自分で判断して練習を一時離脱した。やっていいとき、悪いときがある。


 先発出場の当落線上にいる選手は「休みたくない」と切に思う。僕もそう。一方、監督が「休ませたい」選手もいる。横浜FCの話ではなく、どの海外チームや強豪でもそういうもの。


 後者は休んでも出られるから「差別だ」と怒る人もいる。でも、それは区別であって、差別じゃないんだ。1億円の選手と100万円の選手がいる。価値が100倍の選手に無理させたくないのは当然のこと。とすれば自分も1億円の選手になる、とやるしかない。そういう社会なんだ。


 1月初旬、グアムでの自主トレ。サンフレッチェ広島の佐藤寿人選手も来ていた。優勝争いでしのぎを削り、連覇し、天皇杯で元日の決勝まで戦った身で、その一週間後にはもう走り始めていた。「休んだらいいんじゃないの」と聞くと、「休めないですよ」という。「休んだら、怖いです」と。一昨年は22得点、昨年も連覇チームのエースだった彼でさえ“怖い”んだ。自分を支えるものは試合じゃなくて日々の練習――。それが分かっているんだね。


 僕や横浜FCより上の人々が、さらに上を目指して突き進んでいる。下からは僕らを追い抜こうとする人々が迫る。「休んでいる場合じゃないよな」。そうなるよね。僕も“積極的休養”は2日間だけにして練習へ戻ったよ。


 フル出場したい。J1に昇格したい。でも「なんとなく」じゃ、だめだ。人一倍やらなきゃ。言い聞かせつつ2月の沖縄を走る。