BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2013年10月11日(金)掲載

“サッカー人として”
2013年10月11日(金)掲載

チャンスはそこにある

 クロアチアで無職になったころ、1カ月ほどヨーロッパを放浪した。面白かったなあ。いろんな国で練習やテストに加わって。またやりたいよ。46歳で「何しにきたんですか」と言われてね。そこにはチャンスが転がっているものだから。


 イングランド2部ボーンマスの練習試合にも行った。周りはトウモロコシ畑、でも芝生は最高のスタジアム。僕が3点入れて4-0で勝った。僕を売り込む代理人は鼻高々だ。ただ「試合前の午前練習がイマイチ」と難癖を付けられ、結局オファーはなかったんだけどね。でも代理人は「サウサンプトン関係者が見ていたぞ」とささやくわけ。


 ブラジルにはそれこそ何百というチームがあり、練習ひとつも誰かの目に留まる。サントスに始まり、コリチーバなどを渡って再びサントスに戻れたのも、行く先々で僕を見ている人々がいたからだ。億万長者になるチャンスがここにある、どこにいても思っていた。だから常に全力になれた。


 今でも変わらず、そう思う。これ、横浜FCのサブ組の練習試合だって同じだよね。だからうちの選手に言うんだ。「大学生相手でも何であろうと、どこで誰が見ているか分からないぞ。たまたまヨーロッパの人が来ていて、俺たちを気に入るかもしれないだろ」。


 横浜FCから日本フットボールリーグ(JFL)のチームへ期限付き移籍する若手が「戻ってこれるよう頑張ります」と抱負を述べた。「違うよ」と僕。「『頼むから戻らないでくれ』と向こうで言われるように頑張るんだよ」。かつてブラジルの地方のクラブは契約を終える僕に「倍の給料を出す。残ってくれ」と言ってくれた。そうであったから、僕も次のステップ、より高いレベル、その先の人生へ行けたはず。


 日本代表がセルビアへ遠征している。全員に大チャンスですよ。日本選手にもセルビア人にもザッケローニ監督にも。思い返せば就任当初に監督を「過去の人」と評した人々もいたけど、その監督が異国をアジア王者に導き、コンフェデレーションズカップで母国と好勝負をし、イタリア代表監督候補に数えられている。遠い日本で信念を持ち、チームを作り続けることが、欧州に認められる時代なんだ。


 誰かが見ている。あると思っている人間には、チャンスはある。世界が近くなった今、なおさらだよね。