BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2013年06月07日(金)掲載

“サッカー人として”
2013年06月07日(金)掲載

「みんな」で戦うワールドカップ

 日本はサッカーではいわゆる新興国といえるだろう。インドやブラジルが経済で急成長したように、力をつけ、世界的な選手を抱え、アジアの強豪になった。

 ただ、ワールドカップ(W杯)予選や本大会は「強ければ突破できる」という性質のものじゃない。ブラジルやイタリアだって成績を残せるかは分からない。いまの日本はW杯で8強・4強に進む可能性を秘める。同時に予選で敗退してもおかしくはなかったわけで、5大会連続出場が決まり本当によかった。真面目さ、勤勉さ、きっちり組織を組める強さ。日本のストロングポイントは予選に限らず、この先も必ず生きてくる。

 一つ忘れちゃいけないことがある。自分が成長していれば、周りも成長している。日本が世界のトップ「になる」努力をしているなら、ブラジルもイタリアも世界のトップ「でいる」ために努力をしているんだ。

 横浜FCユースの指導者に「本気でプロになりたい若手、何人いる?」と尋ねた。「微妙ですね」という。そこでは「君たちはプロになりたくないのか」と成長を促す教え方は通じにくいね。ブラジルのユース世代は30人いれば30人が「プロになりたい」という人間だ。「ロナウジーニョのような生活、したくないのか? お金に困らず、いい服を着て、いい食事をして……」。僕も似たような言葉をかけられたものね。若くして自分に“価格”を付けられて。

 サッカーで有名になりたい、強くなりたい、成功したい。このエネルギーに満ち、サッカーが生活やビジネスと一体化したブラジルでさえ努力を続けている。「ブラジルのサッカーは後退している」「このままでは世界に取り残される」。関わる一人ひとりが、危機感と重圧を覚えながら、四六時中議論をしているよ。だからまだ成長している。

 いまの日本はフランスやブラジルと十分に戦える能力はあるはず。でも勝負としてはブラジルと0-4の結果に終わっている。W杯で主導権を握る戦いができるのか、この一年は自分たちの力を見極める時間だ。

 W杯出場が決まったということは、中学生にも46歳の僕にも、日本のみんなにW杯に出る権利ができたということ。扉は開かれた。この一年、世界で勝つために力をもうワンランク上げるよう、「みんな」が担い手となって頑張らなきゃね。