BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2012年05月25日(金)掲載

“サッカー人として”
2012年05月25日(金)掲載

実り多きバンコク小旅行

 昨年に続いて朴智星(パクチソン)選手主催の慈善試合に行ってきた。出場したのは前半(朴智星フレンズがタイリーグ選抜を2-1でリード)だけだけど、パスはつながり、シュートも打ててと楽しい45分間。帰国便が迫っていたので後半はよく見れなかったけど。


 バンコクで夜7時から試合をして、翌朝9時半から横浜FCの練習に出る。タイに来たついでにプーケットでくつろぐという仲間にこの日程を話したら「お前はバカか」と言われてしまった。でも僕にはこれがたまらない。いつもと違う黄色い声が飛ぶスタジアムでプレーし、半日後にいつもの練習場で走り、数日後にはリーグ戦で鳥取へ飛ぶ。これこそ充実感と思える。スパイクと荷物一つで飛び回り、いろんな人とプレーする。サッカーってそういうものじゃないのかな。


 僕の背後でボランチをしたのはファーディナンド(マンチェスター・ユナイテッド)。指示の声がやたらとでかい。「フリーだ、ターンしろ!」。ユナイテッドでも同じように大声を飛ばしているんだろう。僕はルーニーになった気分。


 一流の選手は、日本人だから、中国人だからといって見下すことはしない。中途半端な人ほど偏見にとらわれるんだろう。ACミランなどで活躍したシミッチはザグレブつながり。本気だから顔が真っ赤だ。引退して2年ほど何もしてないというのに、うまい。36歳だから若い方だけどね。


 似たような親睦試合でも、20歳のころは遠慮で自分を出せなかったのを思い出す。イタリアへ渡りクロアチアで過ごした、この30年の経験の大きさを今さらながら実感する。今の僕はどこへ行こうと、変わらぬ自分を出せる。


 中学校で英語の試験が2点だった僕が、海外選手らと友好的に語らっている。どんな話題を振ればいいか、食事会ではどう振る舞うか。コミュニケーションのやり方を経験で身につけている。言葉をたくさん知るだけでは足りないんだね。語学落第生の僕が、コミュニケーションの得意な人間になっているわけだから。


 ピッチで交わればお互いの個性が分かる。一緒に戦えば試合後のコミュニケーションがより深まっている。昔話に花が咲き、クロアチアの話題で盛り上がる。ピッチは不思議と僕らを濃い仲間にする。イベントで顔を合わせるだけならこうはならないだろう。


 サッカー人として厚みが出る、そんな場には行くべきですね。1カ月に一度、12カ国を巡りたいくらい。