BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2006年08月11日(金)掲載

“サッカー人として”
2006年08月11日(金)掲載

挑発も勝負、だけど……

 このスポーツといえばこの選手、というのが人それぞれあると思う。僕の場合、野球だと元巨人の江川卓さん。そしてボクシングといえば日本人なら具志堅用高さん、外国人ではモハメド・アリなんだ。


 先日、世界王者になった亀田興毅選手の立ち居振る舞いが盛んに批判されているけれど、試合前にどんなに吠(ほ)えてもいいし、相手を見下す発言があってもいい。それもボクシングの一部だと思う。アリもジョー・フレージャーたちを散々に挑発していた。それも戦略の一つだし、記者会見から試合は始まっている。そう考えれば許されるんじゃないかな。


 亀田選手の場合は、まだ19歳と若いから批判の対象になるんだろう。確かにリングを下りるとまだ子供の部分も見えるし、対戦相手へのリスペクト(敬意)がもう少しあってもいい。言葉は悪いけれど、チンピラみたいな印象を与えてしまっているかもしれない。例え演出だとしても、それは本人にとってマイナス。あくまでプロボクサーとして相手を挑発してほしい。


 結果について物議を醸している先日の試合。僕は素人だから、有効打の数だとか微妙な判定についてはよくわからないけれど、確かに相手選手は苦しそうな顔も見せず淡々と戦っていた。亀田選手の方がダメージが大きいようにも見えた。それが見ていた人の正直な印象だろう。ワールドカップ(W杯)の日本代表と同じで、期待が大きすぎた分、ファンの不満も膨らんでしまったんじゃないかな。


 ただ、僕は素直に感動した。それは11ラウンド、あれだけ打たれてもギリギリのところで絶対にダウンしないという亀田選手の根性を感じたから。


 テレビの視聴率が50%近くあって、見ている人の中にはアンチ亀田もたくさんいる。そして何より初の世界タイトル戦で、あれだけのプレッシャーの中で最後まで戦い抜くんだという気力、気迫。思わず涙が出そうになったし、本当に勉強になった。


 それもいきなりダウンして1ラウンドから劣勢になりながら、最後まで戦い通したのは、アスリートとして素晴らしいの一言。サッカー選手もちょっとくらいで痛いなんて言っていられないね。