BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2010年10月22日(金)掲載

“サッカー人として”
2010年10月22日(金)掲載

うれしい激励

 先日、鹿島での練習試合を終えて控室で体のケアをしていたら、オリヴェイラ監督が訪ねてきてくれた。「カズ、君は我々の誇りだ。元気にやってるじゃないか。本当は何歳なんだ?」。


 あの日の横浜FCは4-6で負けたけど、2点を先制。2点目は僕がアシストした。「監督室からトランシーバーで指示したんだ。『カズを自由にするな』。後半、君へのマークが厳しかっただろ?」という。


 今月は練習試合で90分間フル出場を続けている。今でも自分がうまくなれる感触がある。余裕ができ、頭も良くなったというか。若手のようなスピードはなくても、スピードある味方を生かせばいい。そしてその流れに加われば、一体としてスピードある攻撃をつくれる。僕はまだまだ見せられるし、経験と技と体力、サッカーはそれらすべてを駆使するものだと改めて学んでいるときで、オリヴェイラ監督の一言は心にしみた。


 声を出して仲間を統率し、試合後は入念にクールダウンする。ひそかに見届けていた彼は言ってくれた。「君はエゼンプロ(手本)だ。その精神を鹿島(アントラーズ)の選手も見習ってほしい」。リーグを3連覇した監督からの激励だ。涙が出るよ。


 ブラジルの誇りを抱く者同士、サッカー談議にも花が咲いた。日本人は原因不明の痛みとやらで離脱しがちだ、日本サッカーの成長度は遅くないか……。鹿島について彼が述べた意見の詳細は内緒にしておくよ。


 その前日、うれしい激励がもう一つ。行きつけの店に行くと僕の指定席に誰かいる。何者だろうと怪しむと「キング! 元気ですか」。声の主は米大リーグ・マリナーズのイチロー君。偶然にして久々の再会を喜び合った。打席でみせる険しさは消え、表情も口ぶりも和やか。


 「カズさん、ブラジル(2014年ワールドカップ)は行くんでしょ。見たいよ」「あのね、J2で出てないんだから……」「関係ないでしょ。見たいね」。そこまで言われると行けるような気がしてきた。「僕が引退して試合を見に行けるようになるまでイチロー君も続けてね。あと15年くらい」とこちらもお願いした。


 彼との久々のひとときが僕に力をくれる。スーパースターからキングと呼ばれると、正直戸惑うけれど。